【秋田県美郷町】人と地域をつなぐ道の駅へ

秋田県の仙北平野を縦断する国道13号線沿いに、改修で生まれ変わった道の駅美郷が完成したのは2021年3月。


美郷町には湧水をはじめとする美しい自然環境や田園風景、そこで生産された良質な農作物や特産品など多くの魅力があることから、単に休憩や買い物をするだけでなく、“町のありのままの良さを味わい体験できる道の駅”というのがリノベーションコンセプトです。

外壁側の既存壁を外しガラスへ交換。明るさと入りやすい雰囲気を出せるようにしました

国道側にはガラスを積極的に活用して、外からの視認性を高めることで、気軽に立ち寄りやすい外観になりました。
改修前は道の駅の中の雰囲気が分かりにくかったのですが、今ではこのとおり。

明るく賑やかそうな空気があって、中が見たくなるような気持ちになりませんか?

既存壁・既存天井を撤去。
田んぼまで抜ける視線・既存構造あらわしになる木質感でやわらかさを強調しています。

直売所エリアでは、既存の化粧梁を生かした内装デザインにして、極力、間仕切りを取り払うことで開放的な空間に仕上げると同時に、目的の場所以外にも興味の目が向くように設計しました。

什器は野菜や果物が色良く見える高さを見越してデザインしています。

地元生産者さんの丁寧な物づくりへの思いを伝えるためのオリジナル什器、ひとつひとつが生き生きして見えるよ うに設計しています

休憩スペースのデザインは、田園風景に向かって大開口を設けることで、美郷町の景観と四季を目で楽しむ場所に仕上げました。
ここを人の流れの多い出入口から少し離すことで、人目を気にせず一息つけるよう配慮しています。

米推しの道の駅なので、仙北平野の田んぼを見ながら軽食を食べられるスペースに
古⺠家との接続を増築によって空間化し、間口を広げて車いすやカートもゆったり通れるようにしました
既存の柱を利用して、空間につながりをつけています。


改修前の状態を継承したデザインとすることで、「改修によって生まれる新しさ」と「今までの懐かしさ」が共存する、新築ではできない空間づくりをしました。

食堂スペースは、元々の曲がり屋純和風建築の意匠をそのまま活かしました。
地域の方には気軽に訪れてゆっくりと落ち着ける場所に、県外や海外の方には美郷町らしさを感じてもらえる空間に変わったように感じられます。

地元の広葉樹と曲げ木を使った家具を採用して います。断熱改修されて快適に。
改修前と変わらずに座卓も残しました。
増築部分。レストラン前につながりをつけ、ワークショップなどを開催。

経年変化を楽しめる素材を積極的に活用して、利用者はもちろん運営者にとっても使いやすく愛着のわく施設づくりを目指しました。

この先何十年と愛される道の駅になってほしいと願いつつ、国道13号を通るたびに立ち寄っています。


道の駅美郷(道の駅棟)
所 在 地:仙北郡美郷町金沢下館124
敷地面積:4543.60㎡
構造規模:木造 地上1階
建築面積:753.52㎡
延床面積:753.52㎡
最高高さ:9.796m

設計デザイン
一級建築士事務所リリーアーキテクツ株式会社
株式会社See Visions
小野琢也建築事務所

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