「開放的な空間」と「見えない安心感」を両立。犬走りをフロートさせた住まい【神宮寺の家】
小さなまちに一軒の家が建つということは、そのまちにとって喜ばしいことでもあります。
こんなに文字通り「建設的」なことはなかなかない。だから家を壁で囲んでまちと遮断してしまうのはもったいない。
施主様とその愛犬が住むための家は、優しくまちに立ち現れるように、と設計がスタートしました。
まとう緑と犬走り。目の前には地元に愛される店っこ
敷地の目の前、道路を挟んだ向かいには、生鮮食品店があります。この店っこは、営業日もシャッターが半分だけ開けてあるのですが、お客はみんなシャッターをくぐって買い物をしています。
中に入ると、お店の人と馴染みのお客さん。
シャッター半分の心地よさで、普段の買い物は「ケ」として楽しんでいる様子がうかがえました。
その心地よさがあるところに、一軒の家が建って買い物しづらくなるということは絶対に避けたいことです。
「ケ」のお買い物空間を楽しむ人々の目の前に建てられる家。お店のお客さんと家の住人の緩衝地帯にできるものがあればいいと考えました。
サンルームのガラス面には緑を纏わせました。内外を塞ぐささやかなスクリーンを作り出し、店っこと家の緩衝地帯に。
犬走りを道路側からの目線に近いところにフロートさせることで、文字通りワンコが通る犬走り。
距離をかせぐサンルーム
施主様のご要望のなかで、“開放感と安心感”の両立がもっとも大きなテーマでした。
店っこに近いところにサンルームを配置することで、開放的な気持ちよさをもたらしながら、且つポケットリビングから距離ができることによりゆったり気ままに過ごせる落ち着いた空間に。
神宮寺の夏祭りの日には子ども連れの親戚がたくさん集まり、とても賑やか。料理する人食べる人みんながお手伝いしながら会話を楽しめるよう、そして日々の暮らしも同じように過ごせるようにと、キッチンを家の中心にとらえてリビングダイニングを配置しました。
まちへの寿ぎ
造園担当のO様が、図面を読み込んでくださり、植栽の周りにベンチを作ってくださいました。とても小さいけれど、ポケットパークのような雰囲気が出て、家はとても優しい表情に仕上がりました。
天気の良い日には、サンルームの大きな窓からデッキに出てくつろぐことも。
緩衝になっている緑のおかげで、中からの眺め〈開放感〉と外からの目隠し〈安心感〉を同時に実現しました。
建設地:秋田県大仙市
敷地面積:343.87㎡ (103.81坪)
建築面積:129.18㎡ (39.00坪)
延床面積:160.37㎡ (48.32坪) ※インナーガレージ含む
構造・工法:木造軸組工法(在来工法)
設計:リリーアーキテクツ株式会社
施工:株式会社半田工務店